がらくた屋まん太 – 能田 達規 | 好きなマンガを語るシリーズ その1

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マンガのことを語るシリーズを始めてみます

いきなりですが(このブログはいつもそう)、手習いの一環として自分の好きなマンガの紹介を幾つか投稿してみようと思います。

第一回目に紹介するマンガとして選んだのは吉田直樹として当然のことながら、能田達規先生の『がらくた屋まん太』です。

がらくた屋まん太 1巻

がらくた屋まん太』(がらくたやまんた)は『月刊アスキーコミック』(現『コミックビーム』)1992年8月号から1995年9月号まで連載されていたSF作品である。能田達規のデビュー作。全5巻(絶版)。

がらくた屋まん太 – Wikipedia から引用)

『がらくた屋まん太』を最初に読んだのは…

吉田直樹と『がらくた屋まん太』の出会いは古く、今からおよそ16年前まで更新していたサイト(最終更新 2002年7月26日)の自己紹介の中でも好きなマンガとして『がらくた屋まん太』の名前が書かれているほどです。それくらいずっと好き。なんでそんなに好きかはあとの方で書こうと思います。

がらくた屋まん太』は、東京下町の千田町を舞台に、我楽太屋(がらくたや)というなんでも屋(電子機器の設計開発販売から骨董品、肉まん・アイスクリームまでを販売。巻内のではハイテクジャンクショップと説明されています)の店主大福まん太を主人公としたSFコメディ。

まん太は現役の中学2年生という設定で、吉田のじじいと二人だけで我楽太屋を切り盛りしています。まん太と吉田のじじいは大手メーカーもかなわないほどの超絶技術者集団で、店構えはボロボロなのに、高性能ロボットやジェット機なんかも作ってしまうほど。

がらくた屋と関わり合うのは、地球防衛隊(略して地衛隊)や宇宙人、国際鉄道東日本といった大企業から、ライバルの骨董商、商店街の昔ながらのおもちゃや大衆食堂(いずれも老夫婦が営んでいてさびれている)など、大から小までさまざまです。幼なじみとしてくのいちなんかも登場します。あ、ヒロインのガールフレンドは別にいますよ。

さて、吉田直樹に20年近く好きと思わせる『がらくた屋まん太』の最大の魅力はなんでしょう?

『がらくた屋まん太』のおもしろさは?

がらくた屋まん太』の魅力、それは「日常と非日常が絶妙に混ざりあった世界観の魅力」ではないかなぁと思います。

銃弾やミサイルが飛び交い、あちらこちらで爆発がおきたり建物が壊れたりする中、中学生とじじい2人の町のジャンクショップがハイテクメカを駆使して地衛隊や大企業を相手に痛快な大立ち回りを繰り広げます。そんな非日常のアクション回があるかと思えば、花子(いつもは優しいまん太のガールフレンド)がデートの約束をすっぽかされて激怒したことで周りがドタバタするだけの日常回もあったりします。

そしてここがとても重要なんですが、『がらくた屋まん太』はそんな小さな日常と大きな非日常との間を結ぶ細かな描写が随所にちりばめられていて、それが妙なリアリティを生み出しています。言い方がヘンかもしれませんが、SFコメディなのに「生活感」があるんです。

少しだけネタバレしてしまいますと、第一話のクライマックスでは巨大兵器が突然町の真ん中に現れて辺りを大きな騒動に巻き込みます。この巨大兵器は、とある理由からそのまま町の真ん中に放置されるんですが、それがその後のお話の中で、風景描写のひとつとして描かれていたりします。基本的には一話完結型なんですが、お話が終わっても前回までに起きた騒動がなかったことにはなりませんし、壊れた建物がいつの間にか元通りになっていることもありません。

まん太の開発した望遠鏡によって撃ち落とされた米軍のステルス戦闘機が、我楽太屋の屋根をふっとばしてしまった時の屋根は次の回になっても直っておらず、ヒロインの花子に早く直せと叱られるエピソードが描かれています。そして墜落した米軍のステルス戦闘機は解体した後でジェット機に改造されてその後の話で派手な空中戦を繰り広げるんですが、それまでの話の中で改造中の機体が描かれているシーンがあるんです。

そういう細かな描写のつながりが、この『がらくた屋まん太』の世界に「日常の連続=生活感」演出していて、そして、この生活感あふれる世界だからこそ、その中で好き放題に暴れまわるまん太たちキャラクターに生き生きとした魅力を感じさせるんじゃないでしょうか。

最後に、実は『がらくた屋まん太』を語る上で外すことのできない話題として、最終回の感動的なラストシーンというものがあります。こちらについては特に内容を書くことはせずに、本当に感動的ですってことだけを記しておきます。願わくば、単行本にして5冊という物足りないようなちょうどよいようなボリュームの作品です。興味を持たれた人が読んでみてくれたらうれしいです。

 

 

 

コメント

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