終電ちゃん(9)※完結 – 読んだマンガをひたすら挙げていく【92冊目】

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あらすじ・ネタバレ・感想など

あらためて『終電ちゃん』とはどんなマンガ?

終電ちゃんの紹介は、いつもどおり Wikipedia から引用します。

『終電ちゃん』(しゅうでんちゃん)は、藤本正二による日本の漫画作品。『週刊モーニング』(講談社刊)にて、2015年40号から月1回で連載。第52話以降、『月刊モーニングtwo』(毎月22日発売)およびweb・アプリ誌『週刊Dモーニング』(毎週木曜日配信)に連載が変わる。雑誌連載は『月刊モーニングtwo』に移籍し、2020年11号に完結。

最終電車を擬人化したキャラクター「終電ちゃん」が登場する漫画で、路線ごとに複数の終電ちゃんがいる。第67回ちばてつや賞一般部門入選作品。

終電ちゃん – Wikipedia

Wikipedia の概要にもある通り、終電ちゃんは終電(最終電車)を擬人化したマンガです(そのまんま…💦)

作者の藤本正二先生の公式Twitterアカウントはこちらです。

不思議な存在、終電ちゃん

『終電ちゃん』のマンガ世界には、すべての鉄道路線各線に最終電車の運行を司る不思議な存在がいます、それが終電ちゃんです(再びそのまんま…💦)

マンガには直接登場しませんが、どうやら日本国内に限らず世界中の路線にも終電ちゃんがいるようです。

単行本には各話の最後におまけとして一コマ後日談が描かれますが、最終回の一コマ後日談として「海外の終電ちゃんを取材に行こう」というセリフが書かれています。

終電ちゃんの容姿は路線ごとに異なりますが、新たな路線ができるたびに終電ちゃんは登場し、路線がある限り何十年と変わらない少女(幼女?)の姿をしているのはみんな同じ。電車の屋根にヒョイとジャンプして飛び乗る身体能力があったり、乗客すべての名前を知っていたり(記憶力なのかは不明)と、不思議な能力を持った妖精のような存在です。

終電ちゃんは食事もすればお酒も飲むし、終電の運行が終われば睡眠もとります。屋台にラーメンを食べにいったり、終電ちゃん同士で慰安旅行にでかけたりと人間臭いところもたくさんあります。

そんな不思議な終電ちゃんですが『終電ちゃん』のマンガ世界の人々は「いるのが当然」という感じで普通に受け止めて接しています

まあ、「なぜ終電なんていうものがあるのか?」みたいな疑問は誰も思わないので、それと同じで「なぜ終電ちゃんなんていうものがあるのか?」と思わないのもごく自然なことかもしれませんね!

表紙を飾った終電ちゃん達をご紹介

単行本全9巻(61話)の中にはたくさんの終電ちゃんが登場します。どんな終電ちゃんがいたのかはマンガを読んで確認してもらえるのが一番ですが、単行本の表紙を飾った終電ちゃんを紹介したいと思います。

1巻:中央線の終電ちゃん
2巻:山手線の終電ちゃん
3巻:小田急線の終電ちゃん
4巻:東海道新幹線の終電ちゃん
5巻:スカイライナー(成田スカイアクセス線)とイブニングライナー(京成本線)の終電ちゃん
6巻:大阪環状線の終電ちゃん
7巻:京王線と京王新線の終電ちゃん
8巻:上越線の終電ちゃん ※電車の先頭にいます
9巻:再び中央線の終電ちゃん

表紙の紹介では、ひのふの10人の終電ちゃんしか紹介できませんが、本編にはとにかくまあたくさんの終電ちゃんが登場します。

なんと、8巻までで70人以上の終電ちゃんが登場しています。

けっして東京や大阪の終電ちゃんばかりでなく、北海道から沖縄まで全国津々浦々の路線の終電ちゃんが登場しているので自分の利用している路線の終電ちゃんがいるか探してみるのも楽しみのひとつです(^O^)

読んで探すのが大変だったら、Wikipedia を見れば登場した終電ちゃんのまとめも載っていますよ。

『終電ちゃん』のエピソードはどんな内容?

『終電ちゃん』には電車を利用する人々のさまざまな人情ドラマが多く描かれています。

仕事のことだったり恋愛のことだったり家族のことだったり。乗客の話ばかりでなく、電車の運転士など鉄道を運行する人たちの話もたくさんあります。

必ずしもすべてのエピソードが終電をモチーフにしているわけではないので、いろいろな場面や状況が描かれています。

終電ばっかりか…と心配しなくても大丈夫ですよ

遅い時間までなにかをやっていて、慌てて終電に乗らざるを得ない人達ばかりの話なんてことはまったくないので読んでいて単調に感じることはありません。

当初は1話完結のエピソードで基本はハッピーエンドで終わることが多いので、そういったお話が好きな人は安心して読むことができます。途中から、前編後半にわかれたエピソードも描かれるようになっているので、ちょっとボリューム感のあるお話を読むこともできます。

『終電ちゃん』を読むときに気をつけることは?

『終電ちゃん』には人情パートと終電ちゃんパートがある

最初の頃の『終電ちゃん』は利用客や乗務員のことを描いた人情ドラマ(ここでは人情パートと呼びます)が多いのですが、途中から(と言っても2巻くらいのけっこう早いタイミングで)終電ちゃん本人を題材にしたエピソードが徐々に増えてきます。

終電ちゃんがメインのエピソードを、ここでは終電ちゃんパートと呼びますね。

人情パートと終電ちゃんパートでエピソードの雰囲気が変わるのが『終電ちゃん』のおもしろいところですが、どちらの雰囲気が好きかは人それぞれなので、ちょっと良し悪しもありますね。

ちょうどそう、、、こち亀も下町人情の回とコメディ回があって(他にもたくさんありますが)、どっちもこち亀だけどこっちの雰囲気が好き、みたいなやつです。

終電に連帯感を感じる人情パート

『終電ちゃん』のよいところはやっぱり人情パートにあるんじゃないかと吉田直樹は思います。

『終電ちゃん』の主人公である中央線の終電ちゃんは、車内アナウンスで最終電車を利用する乗客にこう言います。

「明日は必ずもっと早い電車で帰るって約束しな!!」

そのシーンは冒頭に載せた藤本正二先生の公式Twitterでも見ることができます。

それを聞いた乗客はわぁーっと歓声をあげるんです。

別に乗客全員が酔っ払ってるわけじゃないですよ(^_^;)

残業で遅くなったり、飲み会でベロベロに酔っ払ったり、終電を利用する理由は人それぞれですが、どれも必要があってやっていること。嫌々かもしれないけれど、やらなければいけないから仕方ない。

たまたまその日の中央線最終電車に居合わせただけの乗客ですが、中央線の終電ちゃんが「明日はもっと早い電車で帰る」という約束を求めた瞬間に、

「よし!明日はもっと早く帰るぞ!」

っていう共通の目標が生まれ、乗客に連帯感が出るんですよ

自分も、何度も終電を利用したことがありますが、終電なんてヘトヘトになって乗ってて「さっさと最寄りの駅につかないかなあ」と思っているだけの時間なんです。そんな終電に、同じ場所や時間を共有する同士の仲間意識が生まれるなんてことが起きるもんだから、なんだかとてもワクワクするんですよね(^o^)

この辺りの『終電ちゃん』の空気感を、講談社の公式の紹介文がとてもうまくまとめています。

終電は、非情だけど、どこか優しい。

深夜の新宿駅。今日も終電をひきつれて、「終電ちゃん」がやってくる。

皆を終電に乗り込ませる中央線の終電ちゃん。

不思議な高揚感と一体感のある終電には、ひきこもごもの人間ドラマがあり——。

終電ちゃん|モーニング公式サイト – 講談社の青年漫画誌

さすが公式の紹介。「不思議な高揚感と一体感」ってとてもいい表現ですね(^O^)

そんな終電ちゃんの不思議な高揚感がとても良く出ているのが、やっぱりマンガのはじまり第1巻です。

2020年11月現在、なんと『終電ちゃん』の第1巻はKindleで無料で読めるので、ぜひ読んでほしいです!

でもそう…この1巻あたろの人情パートの雰囲気が良すぎたので、逆にそういうマンガがめっちゃ好きって人にはそういうのばっかりじゃないんかーいってちょっとなるかもしれません。

終電を舞台にした人情ドラマがメインじゃない。

あくまで『終電ちゃん』が主人公

1巻の終電を切り取った人間ドラマがとてもいい感じの『終電ちゃん』ですが、2巻以降ちょっとずつ雰囲気の異なるお話が展開されるようになっていきます。

なにかというと、それが終電ちゃんパート

人情ドラマではなく終電ちゃんそのものが主役になるようなお話が増えていきます。というか、このマンガのタイトルはあくまで『終電ちゃん』なので、『終電ちゃん』を主人公として扱うのはよく考えれば実に当然のこと。

終電ちゃんはとても可愛らしいですし、マスコットとして推されるようになるのも自然の流れ、というかもともとそういうマンガとして企画されていた、まであるかもしれません。

だからこそ、全国津々浦々の終電ちゃんがたくさん登場する

ってことが『終電ちゃん』を楽しむポイントになってきます。

繰り返しになりますが、終電を擬人化した妖精みたいな終電ちゃんはマスコットとしてもとても可愛らしいので、終電ちゃんを主人公にしたお話もそれはそれでとてもおもしろいと思います。

ただ、ちょっと問題もあって、、、(^_^;)

路線の数だけいるから流石に終電ちゃん多すぎる (^_^;)

さきほども書きましたが、終電ちゃんは、単行本8巻までで70人以上が登場します。主要路線の終電ちゃんは繰り返し登場するので正直区別がつかなくなってきます。もちろん藤本正二先生はちゃんと、話し方だったり、お酒好き、ギャンブル好き、恋愛話好きだったり、強気だったり弱気だったりととても人間らしく、一人ひとりの終電ちゃんを描き分けてくださっているんですが。

ただ、国とか都道府県ならまだしも路線ごとの特徴というのはなかなか読む側も知識として持っておきづらいので、せっかく描き分けてくれてもあまり個性として感じられないんですよね。

電車に詳しければ路線あるあるとしてもっと楽しめるかもしれないので、ひょっとしたら電車の勉強もしたほうがいいかもしれないです(^_^;)

まとめ:終電ちゃん > 終電 の精神で読みましょう。

まとめにもなりますが『終電ちゃん』というマンガは、終電ちゃんを楽しむためのマンガです。

終電を舞台にした人情ドラマがメインじゃありません。

終電を舞台に頑張る終電ちゃんの笑いあり涙ありの奮闘劇

として読む必要があります。

余談、本当はもっと続けたかった?

『終電ちゃん』は単行本全9巻(61話)で完結したわけですが、やろうと思えばもっと続けることはできたはずです。

作者の藤本正二先生は、9巻発売後の自身の公式ブログで以下のように語っています。

● 最終巻だしちょっと色々書いてみるか・・・(巻末のあとがき延長戦)
トークショーなんかでは、100巻まで続けます、って
結構本気で言ったりしてましたが、残念ながらこういう結果になりました。
まだまだ描けていない路線もたくさんあったりしますが、
自分の力不足を呪いつつ、いつかまた日の目を見ることがあればということで
最後までよろしくお願いいたします。。!

藤本正二の漫画活動記録

必ずしも意図した完結ではなく営業的な判断もあったことが伺えます。ただ、同じブログには続けてこうも書かれています。

しかし正直に言って、ホントは最初の同人誌「終電ちゃん」の冒頭10ページ(1巻収録の第0話10ページ目)まで描いた時点で作者としてはすでに最初に描きたいと思ったことを描き終わっていました。それがまさか5年かけて単行本9巻、1200ページ以上も続けることになるなんて今数え直してみて驚いています。

藤本正二の漫画活動記録

連載を続けられるイコールおもしろいマンガが描けているということ。連載を続けられればまだまだ『終電ちゃん』を書き続けることもできた、という思いがあるのでしょうか。

いつかまた新しい終電ちゃんも読みたいですね!

終電ちゃん
がんばってる人々を、今日も熱心に送り届ける「終電ちゃん」。「お前たち、明日はもっと早い電車で帰るって約束しな!」。疲れてて眠いのに、彼女に会えて、なんだかうれしい――。不思議な高揚感と一体感のある、終電物語開幕!!

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