楽勝!ハイパードール – 伊藤伸平 | 好きなマンガを語るシリーズ その4

マンガ語りシリーズ第4弾『楽勝!ハイパードール』

吉田直樹が好きなマンガを語るシリーズ その4は、伊藤伸平(いとうしんぺい)先生の『楽勝!ハイパードール』となりました。
※作品タイトルは正確に表記すると『楽勝!ハイパー♥ドール』(ハイパーとドールの間にハートが入る)となりますが、ちゃんと表示されるか自信がないので遺憾ながら本投稿では『楽勝!ハイパードール』という簡易表記をします。

読んでみる 楽勝! ハイパー・ドール

これまた懐かしいタイトルです。
Wikipedia によると1994年に連載が開始しているのでやはり20年以上前の作品になりますね。

表紙の紹介用に掲載した上の画像は Amazon Kindle版 のもので、ペーパーバックみたいでなんだか安っぽいのがとても残念。

ただし表紙に関係なくその内容はとてもおもしろいので、今でも気軽に読めることに感謝しないといけないのかもしれないです、なにせ20年前ですから(^^ゞ

先日、低俗霊狩り【完全版】 – 奥瀬サキ | 好きなマンガを語るシリーズ その3 の投稿で当時(1990年頃)の思い出のマンガのタイトルをいくつかリストアップしましたが、その時に『楽勝!ハイパードール』の名前を久しぶりに思い出しました。そして「ああ『楽勝!ハイパードール』は本当に好きだったなあ」と懐かしくなり「よし次の投稿は『楽勝!ハイパードール』にしよう」と思い立ったのでした。

思い出すとはといっても作者の伊藤伸平先生は今でも新しい作品(ちょっと前だと『まりかセヴン』や最近だと『キリカC.A.T.s』)を執筆されていて、『まりかセヴン』は単行本も買っていたので、伊藤伸平先生の名前を見るたびに『楽勝!ハイパードール』のことを思い出すこと機会は何度かありました。

当時はとにかくマンガを買い漁っていたので作家買いをよくやっていました。伊藤伸平先生の単行本も『裏カスガイ』を除いて『まりかセヴン』までは全部持っていたんじゃないかと思います。・・・いや、『大正野球娘。』は2巻以降買ってなかった気もするので全部は言い過ぎかも。ただ残念ながら引っ越しをする時に単行本はほとんどブックオフしてしまったので今はいずれも手元には残ってないのですが。

というわけで、実は今回また『楽勝!ハイパードール』を読みたくなってトラウマンガブックス版をAmazon で買ってしまったんですよね。

でもって、あらためて読んでみたけどやっぱりおもろしろかった^^


『楽勝!ハイパードール』とは(Wikipedia から引用)

『楽勝!ハイパー♥ドール』(らくしょう!ハイパードール)は、伊藤伸平による日本の漫画作品。1994年から1997年にかけて『月刊少年キャプテン』(徳間書店)に連載。1995年にはOVA化などメディア展開が図られたが、掲載誌休刊により中断、コミックスにより完結した。さらに続編「楽勝!ハイパー♥ドールHG」が、2002年から2003年にかけて、雑誌『トラウママンガマガジン』(インフォレスト、3号で休刊)に発表されたが休刊により中断『楽勝!ハイパー♥ドール6』あとがきによる。2006年夏のコミックマーケットにおいて『楽勝!ハイパー♥ドール6』が発表された。「トラマガ」の再録と続編を収録しており、以後の夏コミにおいて続編が発表された。

楽勝!ハイパードール – Wikipedia から引用)


『楽勝!ハイパードール』のふわっとしたあらすじ

銀河中央から辺境の惑星、地球文明を維持する(=地球の平和を守る)ために派遣されてきたのがハイパードールことドール・ミュウドール・マイカの2人。

地球よりも遥かに文明の進んだ銀河中央の技術によって作り出された(という設定)2人は身体能力は強化されていて、空を飛ぶのはもちろんのこと高温のプラズマ球を打ち出したり元素を固定して虚空から武器を取り出したりと、まさにスーパーマン。マリオでいうところのスター状態です。

ただし、攻撃が雑なのでいつもちょっと苦戦します。きちんと統計取ってみないとなんともいえませんが、おそらく雑じゃない攻撃はしたことないと思います。

ハイパードールの2人は周囲にとけこみやすいよう地球人の外見・思考・感情に近くなるよう作られていて、普段は文月美憂(ふみつき みゆ=ドール・ミュウ)と水無月舞佳(みなづき まいか=ドール・マイカ)という名前で高校に通っています。いざ、事件が起きるとハイパードールに変身して地球の平和を守るのです。

ただし、外見は人間に似ていたとしても中味はあくまで宇宙人(ドールという名前の通りなのか銀河中央によって作られたという設定)なので、言動や思考はまったくもって地球ノーマルではありません。

ハイパードールの正体をたまたま知ってしまった同じ高校に通う男子高校生赤井に対しては「正体をばらしたら首ねっこ引っこ抜いて殺しちゃう」とか平気発言します。といいつつ、地球人の外見・思考・感情に近くなるよう作られていているので、赤井に対して恋愛感情を持ってしまうといったラブコメ要素もあったりしたんですよ。ラブコメ要素はけっこうストーリーにも絡んできていたので、いろんな展開があってほんと、おもしろい作品でした。


『楽勝!ハイパードール』を知ったきっかけとか

きっかけは『低俗霊狩り』と同じ中学~高校生時代に本屋巡りをしている時に買いました。

最初に『楽勝!ハイパードール』を見つけて第1巻を買ったのが書店だったか古本屋だったかは覚えていないですが、第5巻(最終巻)は間違いなく新刊として買ったはずです。

少年キャプテンコミックスとして単行本で買っていたので雑誌の方はほとんどまったく読んでいませんでした。だから、少年キャプテンコミックスの第5巻が最終巻だと知った時は「え、もう最終巻なんだ、ちゃんと話は終わっているんだろうか」と当時はきっと思ったはずです。本当にそう思ったかどうかまったく覚えてないけど、今考えてもきっと当時はそうおもったはずです。


『楽勝!ハイパードール』を語る

今回実はまた読みたくなってトラウマンガブックス版の『楽勝!ハイパードール』を買ってしまったんですよね。で、あらためて読んでみたけどやっぱりおもろしろかった^^

さきほど書いたとおり、今回また『楽勝!ハイパードール』を読みたくなって買い直してしまいました。というか読み直しながらでないと記憶だけではとても語れないので買い直してなかったら語ってなかったんですけど。

『楽勝!ハイパードール』は今読み直しても20年前の作品とは思えないほど年月を感じさせない作品だと思います。伊藤伸平先生の絵柄は当時と今とであまり変化はありません(※あくまで吉田直樹の目で見た印象ですよ)。

もちろん作品中の描写は間違いなく20年前なんですけどね(^^ゞ

作品の冒頭、でっかい流れ星(正体は大気圏突入中のハイパードール)に対して、赤井が欲しいものの願いごとを連呼します。

「パワーマック8100AV、パワーマック8100AV、パワーマック8100AV」

あ~なんて懐かしい。確かにパワーマック8100AVは当時の Apple Macintosh シリーズで憧れのハイエンド機種でした。お願いして手に入るなら自分もお願いしたかったです(^^ゞ

投稿の中でここまで「おもしろい」っていう表現を何度か使いましたが、今読んでも変わらずおもしろいと感じる『楽勝!ハイパードール』の魅力はなんでしょうね。

あらためて考え見てると「おもしろい」もそうだけど「楽しい作品」という言い方のがしっくりくるような気がしてきました。なので、『楽勝!ハイパードール』は楽しめる要素がすごくたくさんあるのがいいんじゃなかろうか、という趣旨で語っていくことにします。


『楽勝!ハイパードール』の楽しいところはどんなところか

『楽勝!ハイパードール』を読む時の楽しみのひとつは間違いなく「元ネタ探し」です。

その作風は特撮、アイドル、軍事、SF等のオタク的知識に裏打ちされるギャグ

伊藤伸平 – Wikipedia から引用)

Wikipedia にも書かれているとおり、伊藤伸平先生の作品中にはパロディがたくさんたくさん登場します。

特撮からのパロディが多いんでしょうが、それだけにとどまらず映画やテレビドラマやマンガにアニメなど元ネタは多岐にわたります。そのほとんどがギャグとして使用されているので、オマージュというよりはやっぱりパロディになるんでしょうね。

そういうパロディってどんな作品でもやっぱり元ネタがわかった時はなんだかんだうれしいですね。元ネタの方も好きだったりすると喜びもまたひとしおです。
伊藤伸平先生とは少し世代が違いますし、当然好きなジャンルもベースの知識も違うので全部が全部分かるわけではありませんが、ニヤリってなる楽しさがあります^^

あとは、さっきも書いたけどラブコメ要素。

「正体をばらしたら首ねっこ引っこ抜いて殺しちゃう」といっていた地球外生命体であるドール・ミュウ赤井を意識するようになってしまうとか、それを見ていた赤井の幼なじみ祥子ドール・ミュウの間で恋のサヤ当てがあったり。

大変残念なことに『楽勝!ハイパードール』は未完の作品のため、この三角関係がその後のストーリーにどう影響していったのかを知ることはできませんが、お話としてこれもまたひとつ盛り上がる要素でした。人間の感覚を知りたいと思ったドール・ミュウがハイパードールでいるためのエネルギーの供給をなくして生活してみるエピソードとかいいですよね。あの回(番外編でしたが)はオチもおもしろかった。

とまあパロディやユーモア満載のストーリーも『楽勝!ハイパードール』の楽しいところですが、あとはあとは、意外とシリアス要素もあったりします。

ハイパードールが事件を解決する時はたいてい周囲に被害が出ますが(攻撃が雑なので)、そういうのは国からしたら国家の安全に関わる深刻な問題となります。当然、警察や自衛隊、政府関係者として登場するキャラクターは真剣にこの問題に対処しようと行動するわけです。

内閣調査室の女性は「わたしたちは国のエイジェントですわ。国益が第一です」と話し、ハイパードールの正体を探ろうとします。たとえハイパードルが正義の味方であっても、コントロールできない状況であればそれは脅威であると彼女は言います。

また、普段はとぼけた感じだけど実はできる人キャラ(おそらく)の警部が同僚の警察官7人の殉職者を出てしまった時の

「甘かったよ。甘く見てたんだ、俺のせいさ」

というセリフのシーンは、これまでとはうって変わった緊張感を漂わせていました。


『楽勝!ハイパードール』の魅力をまとめてみると

中心となる登場人物にはそれぞれ目的を持って行動します。

ハイパードールが正義の味方であると信じ、警察官として事件の終息と平和のために行動する警部。ハイパードールが正義の味方じゃないとなれば彼女たちを逮捕しに行かされる、それは回避したいっていう思惑もあるみたい。

「国益が第一です」と話す内閣調査室の女性はどうも米国CIAとつながりがあるような描写が作品中には何度か登場します。なるほど「国益」とは言っていますがそれが「日本の」とは言っていません。

ドール・ミュウに恋愛感情が芽生え赤井を意識した行動を取りはじめたことで、それまで幼なじみポジションにいた祥子赤井を意識し始めます。そして何かを隠している赤井と行動することの多い文月美憂(ふみつき みゆ=ドール・ミュウ)と水無月舞佳(みなづき まいか=ドール・マイカ)に疑問を抱き、2人こそハイパードールじゃないかと正体を探ろうとします。

赤井は事件に立ち向かうドール・ミュウドール・マイカのことが心配でなんとか手伝い助けようとします。いいやつなんです。もちろん誰かが2人の正体に気づいて首ねっこ引っこ抜かれてしまわないようハイパードールのヒミツを守ることにも尽力します。

メインとなるストーリーを進めるのはもちろん事件に立ち向かうハイパードールの2人です。ただし伏線を貼ったり伏線の回収だったりはしますが、脇を固める主要人物の行動もストーリの進展に大きく関わっていきます。

警察官、政府の役人、高校生、地球外生命体など立場の違う彼らは普段から共に行動したり情報を共有したりするわけではありません。解決したい問題もそれぞれバラバラですが、それぞれのエピソードがちゃんとひとつの話として結びついていってる感じがします。

キャラクターがそれぞれ行動してストーリーを進めていくって書くとなんだかとても普通なことのように思えてしまいますが「どんなマンガでも普通そう」って言いきれる感じでもないですね。こういう作品ってあるようでなかったりするのかもしれないです。

ひとつ同じ感じでストーリーが展開される作品として思い当たったのが荒川弘先生の『鋼の錬金術師』です。
あの作品も自分の弟を元の体に戻すためとか軍部を掌握するためとか賢者の石を自分の国に持って帰るためとかそれぞれが目的を持って別々の場所で行動していくのですがそれが交差して関係しあって最後にはひとつにまとまっていくというストーリー展開でした。

登場人物の多さでは『鋼の錬金術師』の方が圧倒的に多かったですし『鋼の錬金術師』のようにということはいえませんが、『楽勝!ハイパードール』にもそれに似た感じがあるなって今、思えてきました。うん、我ながらうまい例えだ。たしかにあんな感じに話が進む作品って他にもあるんでしょうけどパッパッて名前が列挙できるほどには多くない気がする。だからきっとそんなに多くはないのでしょう(^^ゞ

さっきも書いたとおり、『楽勝!ハイパードール』は今(2018年3月)の時点で未完の作品となっています。Wikipedia の受け売りですが掲載誌の廃刊で2度の連載中断となった後、同人誌として続編が発表されていたそうで「なにそれ読みたい」と思ったけど、どうも1話ごとの発売だったようでしかもほとんど出回っていないみたい。全部揃えるのにかかる手間と費用を考えると今のところは諦める他ありません。

ま、要するに『楽勝!ハイパードール』も名作だってことがいいたいわけですね(^^ゞ そして、やっぱり最後までちゃんと読みたい作品だったなぁ。

あえて今回はハイパードールの敵については書かずにまとめてみました。そうすればまだ『楽勝!ハイパードール』を読んだことのない人に興味持ってもらえるかと思いまして。

敵役の登場人物、キャラクターも魅力的なんです、むしろ見どころ満載! なのでもしも興味を持たれたら『楽勝!ハイパードール』は一度読んでみることをオススメします。

楽勝! ハイパー・ドール

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